肩こり
- 肩が常に重だるく、石のように硬く感じる
- 首や肩がこっていて頭痛やめまいが起こる
- 湿布やマッサージではすぐに戻ってしまう
- 肩こりが酷く寝つきが悪く、疲れが取れない
- デスクワーク中に肩が張り集中できない
肩こりとは?
肩こりとは、首から肩、背中の周辺の筋肉(主に僧帽筋や肩甲挙筋)が緊張し、血流が滞って硬くなることで痛みや重だるさを感じる状態を指します。
正式な医学用語ではありませんが、厚生労働省が行う「国民生活基礎調査」では、女性の訴える自覚症状で常に上位に挙げられる、非常に多い不調です。
肩こりの主な症状
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首から肩、背中にかけての「張り」「重だるさ」「鈍痛」
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肩を回したときの「ゴリゴリ」「バキバキ」といった感覚
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頭痛・吐き気・眼精疲労を伴うケース
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肩を押すと「カチカチに硬い」もしくは「ビーンと痛みが響く」
これらの症状は一時的な疲れとして見過ごされがちですが、実際には筋肉の酸素不足・血行障害・神経の興奮状態などが複雑に絡み合って生じており、適切なケアがなければ慢性化します。
一般的な「疲れ」との違い
例えば「立ち仕事をした日の足の疲れ」などは、休めば自然と回復する一過性のものです。
しかし肩こりは、**姿勢・生活習慣・ストレス・体のゆがみなど、日常的な要因が積み重なって起こる“慢性疾患”**とも言えます。
湿布や市販薬では一時的に楽になることはあっても、原因にアプローチしない限り再発を繰り返すのが肩こりの特徴です。
東洋医学的に見る肩こり
東洋医学では、肩こりは「気血(きけつ)の滞り」や「肝・腎の虚(きょ)」などが関与するとされます。
特に、目の使いすぎ(肝の疲労)や冷え(腎虚)によって筋肉が緊張しやすくなり、首肩の流れが悪化すると考えられています。
そのため、鍼灸治療では単に筋肉をほぐすのではなく、五臓六腑のバランスや自律神経の安定を図りながら全身を整えることが重要とされています。
肩こりはなぜ起きる?
肩こりの根本原因は、筋肉の過緊張と血行不良にありますが、それを引き起こす背景には、さまざまな日常的な要素が関係しています。
一時的な疲れではなく、「肩こり体質」ともいえる状態をつくる原因を詳しく見てみましょう。
(1)長時間の同一姿勢(パソコン・スマホ・デスクワーク)
現代の生活で最も多い肩こりの原因が、長時間の前傾姿勢です。
パソコン作業やスマートフォンを見続けると、頭が前に突き出た姿勢(ストレートネック)になりやすく、首や肩の筋肉が常に引っ張られた状態になります。
特に首の後ろから肩甲骨にかけて走る「僧帽筋」や「肩甲挙筋」が過剰に緊張し、血流が悪くなり、こりや痛みが慢性化します。
(2)姿勢の悪さ(猫背・巻き肩・骨盤の歪み)
姿勢の崩れは、肩こりを悪化させる大きな要因です。
猫背や巻き肩では、肩の位置が内側に入り、胸が閉じてしまいます。すると呼吸が浅くなり、酸素供給が不足して筋肉が硬くなりやすくなります。
また、骨盤のゆがみや左右の筋力バランスの差があると、肩の高さがずれ、特定の筋肉に負担が集中するため、片側だけが強くこる「左右差のある肩こり」にもつながります。
(3)目の疲れ・眼精疲労
目の使いすぎは、実は肩こりと深い関係があります。
長時間の画面作業によって眼精疲労が起こると、目の奥から頭・首・肩にかけての神経が緊張状態になり、筋肉がこわばります。
「目の疲れから肩こりになる」というケースは非常に多く、首肩だけをマッサージしても、根本改善に至らないことがあります。
(4)運動不足・筋力低下
現代人はデスクワーク中心の生活で、肩甲骨や背中の筋肉をあまり使わない生活を送っています。
その結果、筋肉のポンプ機能が低下し、血流が滞りやすくなります。
また、筋力が低下すると、姿勢を維持すること自体が困難になり、慢性的な筋緊張が発生します。
(5)ストレス・自律神経の乱れ
ストレスがかかると、交感神経が優位になり、血管が収縮して筋肉がこわばります。
この状態が続くと、リラックスするために必要な副交感神経が働かず、肩まわりの筋肉が休む暇なく緊張し続けることになります。
「肩に力が入りっぱなし」「気づいたら肩が上がっていた」という方は、精神的な緊張が影響しているかもしれません。
(6)冷えや血行不良
冷房や薄着などで肩周辺が冷えると、筋肉の血行が悪化し、老廃物の排出が滞ってこりや痛みが発生します。
特に女性は筋肉量が少なく、冷えの影響を受けやすいため、冷房の効いた室内での長時間作業は注意が必要です。
このように、肩こりは一つの原因ではなく、複数の要因が積み重なって慢性化するケースが多いのです。
当院では、問診・検査を通じて原因を見極め、お一人お一人に最適な施術プランをご提案しています。
肩こりを放置・悪化するとどうなるの?
「ただの肩こりだから、そのうち治るだろう」
そう考えて放置していませんか?
実は、肩こりをそのままにしていると、日常生活に支障をきたす深刻な不調へとつながる恐れがあります。
(1)慢性的な頭痛や吐き気につながる
肩こりが悪化すると、首や後頭部の筋肉が強く緊張し、血流や神経の流れが圧迫されます。
その結果、「緊張型頭痛」や「片頭痛」が頻発するようになり、日常生活に大きな支障が出てきます。
さらに、筋緊張によって後頭部の自律神経を刺激し、吐き気やめまい、耳鳴りなどの不定愁訴を伴うケースも少なくありません。
(2)自律神経失調症の発症リスク
肩こりが慢性化すると、交感神経が優位な状態が続き、体が常に「緊張モード」に入ってしまいます。
この状態が長引くと、自律神経のバランスが崩れ、以下のような症状が現れることがあります。
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寝つきが悪い・眠りが浅い
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朝スッキリ起きられない
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手足が冷える・のぼせる
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胃腸の調子が不安定
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不安感やイライラが続く
こうした症状は「肩こりが原因」と気づかれにくく、精神的な不調と誤解されてしまうこともあります。
(3)腕や手のしびれ、神経症状へ進行
肩や首の筋肉が緊張して硬くなると、そこを通る神経(特に腕や手を支配する神経)が圧迫され、しびれや痛み、脱力感が出てくることがあります。
ひどい場合は「胸郭出口症候群」や「頚椎症」など、整形外科的疾患へと進行するケースもあり、注意が必要です。
(4)うつ症状・気分障害の引き金になることも
慢性的な肩こりと、それに伴う不快感が続くと、「自分は体調が悪い」「ずっと調子が戻らない」と精神的な負担も大きくなります。
その結果、気分の落ち込み・やる気の低下・不安感・うつ症状などを引き起こすこともあります。
これは決して大げさな話ではなく、肩こりの慢性化が「心の不調」の引き金になることは、臨床現場でもよく見られる現象です。
(5)生活の質(QOL)が低下する
肩こりは痛みそのものもつらいですが、それ以上に「集中力の低下」「イライラ」「睡眠の質の悪化」などによって、仕事・家事・趣味の時間すら楽しめなくなるケースがあります。
つまり、放っておくことで人生の質そのものが下がってしまうということです。
このように、肩こりは単なる「肩の筋肉のこわばり」では済まず、全身の健康状態やメンタル面にまで影響を及ぼすリスクがあります。
だからこそ、「早めの適切なケア」が非常に重要なのです。
肩こりの治療方法・セルフケアの方法は?
慢性的な肩こりを本気で改善したいなら、筋肉を一時的にほぐすだけの対症療法では不十分です。
当院では、症状の一時的な緩和ではなく、根本原因に対して多角的にアプローチする治療を行っています。
さらに、自宅でできるセルフケアも組み合わせることで、肩こりを“繰り返さない身体”へと導きます。
当院での肩こり治療
(1)鍼灸治療(ツボ刺激×自律神経調整)
肩こりの主な原因である「筋肉の緊張」「血流の悪化」「自律神経の乱れ」に対し、
東洋医学の観点からツボを用いた鍼灸治療を行います。
特に有効とされるツボ:
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肩井(けんせい):肩の真ん中、こりの中心部。即効性あり。
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天柱(てんちゅう)・風池(ふうち):首の後ろ。自律神経を整える。
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合谷(ごうこく):手の甲、万能のツボ。頭痛や肩こりの緩和に。
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外関(がいかん)・内関(ないかん):自律神経と精神的ストレスに対応。
筋肉を緩めるだけでなく、内側から血流と神経の働きを整えるため、再発予防にも効果的です。
施術後には「頭がスッキリした」「肩がふわっと軽くなった」とのお声を多くいただいています。
(2)整体・筋膜リリースによる構造改善
当院では、肩こりを引き起こす筋膜のねじれ・姿勢の崩れにも着目しています。
肩甲骨の可動域、頸椎(首の骨)のズレ、猫背姿勢などを手技で調整することで、全身のバランスを整え、こりの原因そのものを取り除く施術を行います。
特に、肩甲骨の動きを引き出す「肩甲骨はがし」は、呼吸や血行を改善し、慢性化したこりに高い即効性があります。
(3)骨格矯正・姿勢指導
肩こりは、「正しい姿勢が保てないこと」が大きな原因です。
当院では、施術だけでなく、普段の座り方・立ち方・スマホの持ち方などを指導し、再発しにくい身体をつくるサポートを行っています。
必要に応じて、骨盤や背骨の調整も行い、全身の重心バランスを整えることで、肩こりにかかる負担を軽減します。
自宅でできるセルフケア
ストレッチ・肩甲骨エクササイズ(毎日1〜2分でOK)
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肩をすくめて一気に脱力:肩の緊張をリセット
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肩甲骨回し:肩を大きく後ろ回しで10回
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壁に背中をつけて立ち、顎を軽く引く:姿勢のリセット
※痛みがある場合は無理せず、できる範囲で行いましょう。
ツボ押しセルフマッサージ(両手でできる簡単ケア)
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肩井(けんせい):首と肩の中間点を3秒ずつ押す×3セット
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風池(ふうち):後頭部のくぼみを親指で押す
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合谷(ごうこく):親指と人差し指の骨の間をグッと圧迫
冷え対策と入浴習慣
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肩まわりを冷やさない服装やブランケットの活用
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入浴時は40℃前後のぬるめのお湯に10~15分ゆっくり浸かることで血行を促進
生活習慣の見直し
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長時間の作業は1時間に1回、立ち上がってストレッチ
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スマホは目線の高さで持ち、前傾姿勢を避ける
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睡眠不足や過労を避け、自律神経を整える生活リズムを意識する
総括
肩こりは、「その場しのぎ」ではなく、「なぜ肩こりが起きたのか?」を明確にし、根本から体質・姿勢・神経バランスを整えることが何より重要です。
当院では、柔道整復師と鍼灸師の視点を融合させたアプローチで、患者様一人ひとりの状態に合わせた施術をご提供しています。
マッサージで一時的に楽になるだけで終わっていた方、ぜひ当院の本格的な施術をご体感ください。